金属3Dプリンターを導入するメリットデメリット
まだ発展途上の技術に投資するには必要な情報を仕入れた上でしっかり考える必要があります。ここではいま注目されている技術である金属3Dプリンターについて、メリットデメリットを含めて紹介いたします。
金属3Dプリンターとは?
金属3Dプリンターとはアルミ・チタン・ステンレスなどの金属を粉末など加工しやすい状態にし、それをレーザー・電子ビームなどで固めて造形するものです。データを事前に作っておく必要があり、3Dモデルを作っておいてそれを出力するプリンターとなっています。近年ではプリンター関連の技術が向上しており、特に小ロットからの生産が可能になったというのが非常に強みになっています。今までは金型や版を作る必要があったものの、今ではデジタルデータからそのまま出力する技術が発展しているので非常に便利なのです。データから直で出力する場合無駄を最大限に無くしてくれるので、一部、一つからでも製作が可能になっています。今までプリンターといえば平面で、そしてその分野でも勿論オンデマンド印刷などの技術が高まっていてそれが活用されている傾向にあります。しかし現在は平面だけではなく立体も可能になったのがこれら3Dプリント技術です。
特にいま普及している傾向にあるのが樹脂3Dプリンターで、個人でも利用できる価格帯のものが販売されています。もし購入しなくても時間レンタルが可能、そして家の電源でも十分に利用出来るようになっているので活用されているケースが多いです。これを利用することでスマホやパソコンで作った3Dデータを元に立体物を造形が可能、樹脂の場合はかなり簡単にできるようになっています。これを用いることでものづくりの分野がひろがり、いま個人企業問わずに活用されています。そして金属3Dプリンターですが、今はもっぱら工業用対応です。その理由ですが扱っているものが金属ということで、熱も融点が600度から、もちろんそれ以上の出力が必要なものもあります。それを安全に利用するための設備での利用となるとどうしても工業用になり、使用推奨環境も価格もまだ個人には向いていないです。それどころかまだ工業用も普及しているかといえばそうではなく、導入コスト、メンテナンスの費用などを考えると先送りにしているところが多いです。
ですが一方でメリットを今でも享受できると考えた業種では早くも活用されています。広く普及、というわけではないですが、メリットデメリットを比較して業種によっては積極的に取り入れるなど、時期尚早だと見送っている業種もあるのが伺えます。とはいえ、メリットデメリットを把握していなくてもデータ上のものが手に取れる形になる、しかも金属パーツまで作ることができるということで利用できる箇所が飛躍的に広がるのです。樹脂では耐久度上利用不可であっても、金属を使用することで利用が可能なほか、医療用としての使用も金属の種類次第では可能なのです。また今まで机上の空論だった、切削や鋳造では製作不可だった造形も金属3Dプリンターを用いれば造形が可能です。ラティス構造などの造形も可能な上に、外部構造だけではなく内部構造まで同時に造形が可能です。他にも今では設計図や金型が存在しない金属パーツを作るリバースエンジニアリングも可能なので、新旧問わずに役立つ技術とされています。データ出力は今でもありましたが、物理的に作用する形にできる金属3Dプリンターは今後更に注目される、そんな技術といえます。
金属3Dプリンターのメリット
金属3Dプリンターのメリットを、実用例を交えてここでは紹介いたします。データで微調整も可能なので修正も比較的容易になったこれは試作品を作成する際に非常に便利です。今までですと試作品を作るだけでもさまざまな工程が必要だったので、どうしてもそれに人的リソースはとられて非効率になりがち、しかも修正が入ると簡単にそれを行うということはできなかったのです。しかし金属3Dプリンターを用いれば造形中はモニタリングも全てオート、監視する必要がなくデータで微調整してそれを金属3Dプリンターで造形するだけなので今までよりも随分簡単に試作品を提供が可能です。またこれは従来よりも短納期が実現できるものとされており、取引自体もスムーズになると見込まれています。
そして他にも、通常ですとなんとか色々な技術で工程を踏み、それでも失敗してしまう可能性が高かったような複雑な造形を可能にしているというところです。特にデザインが大事なアクセサリーは、こういうのを作りたいと思っていてもそれに伴う技術が無いと製作は不可能です。しかし金属3Dプリンターを利用することで、データ上に自分のイメージの投影さえできればまずは形にできるのです。実物にする前に、物理的なシミュレーションも可能なのでパソコン上でさまざまな作業を完結させれば材料費の節約も見込まれます。
金属3Dプリンターのデメリット
メリットがとても魅力的な金属3Dプリンターですが、まだまだ発展途上なので課題は残されています。それをデメリットとしてここでは紹介いたします。まず導入コストについて、金属3Dプリンターは非常に高額で安易に導入が難しいものが多いです。また導入だけではなくメンテナンス費用なども必要なので、それらを考えていくとコストがかさんできます。メリットを最大限に活かせる業種で、利益を出せるのであればとにかくそうでない場合は導入を見送るケースが多いです。採算がとれない、そういうことになりかねないためです。そして次に、まだまだ技術が追いついていない部分があるというところです。
これは方式にもよりますが、パウダーベッド方式、指向性エネルギー方式、熱溶解積層方式など色々な方式を用いた金属3Dプリンターがあります。そしてそれらには特徴があり、仕上げの工程が必要なものや、設計段階で工夫する必要があるものがあります。そして何よりも目立つのが、造形スピードと精密さの関係です。造形スピードが早いものはいずれも精密さや密度にかける傾向があり、逆にそれらが十分であれば造形スピードが遅く量産に向いていないという傾向があります。小型品の製作であれば問題なくても、大型部品には向いていない、そんなケースが多いです。そのためまだまだ使い勝手がいいとはいいきれないのが事実、まだ尚早な場合もあるので見極めが大事です。
金属3Dプリンターのデメリット
まだまだ課題は残されていますが、金属3Dプリンター自体はこれからの社会をより良いものにする、そんな可能性が詰まった技術であるということには変わりないです。航空宇宙・医療・自動車などさまざまな分野でこれから重宝されると予想されているので、いずれ導入をおすすめいたします。まだ現在はできないことでも、開発が盛んなのでいつの間にか出来るようになっているケースだってあります。それらの情報をチェックし、これなら問題ないと判断できるレベルになったならぜひ導入の検討をおすすめいたします。
これを利用することで起こる利便性や機能性、そして効率化は今までの工程を一気に短縮してくれるものが多いです。またこれまではできなかった造形ができるということで、受けられる仕事も広くなります。非常に可能性のある技術であるということには変わりないので、あとは最適なタイミングを見極めるのが大事です。